だいさく NOSAI獣医日記

強みをみつけ、チャレンジを与えられる獣医でありたい

いつ、何を遺すか

最近、定年間近の先生と初対面にもかかわらず長くお話する機会をいただき、その先生の言葉が以前に私が感動した別の先生から頂いた言葉と似ている出来事がありました。

先生「50代になると、眼が見えにくくなる。だからやりたいこともやりにくくなった」とおっしゃられました。

そうなると私はあと8年で50歳だから、やれることは今のうちにやっておかないと!と思いました。

実は、獣医師7年目(31歳)の時に、自分が手術センターに送った患畜を、ある先生(当時は当時51歳)が手術してくださることになり、その助手に入ったときに、こんな会話がありました。

先生「上野君、今後どう考えているの?」

私「最初の10年はがむしゃらに、次の10年で何か考えて、最後の10年で何か残して去ります」

先生「50代は体力が本当に落ちて、そのため気力も落ちるから、今体力のあるうちに残しておくんだ」

と教えていただきました。

この時に非常に感動したのを今でも覚えています。

このお二人の先生が同じ感じだったので、やっぱり「今」を大事にしないといけないんだなと改めて感じました。

たしかにNOSAIに勤めながら大学院に通っているときは、まだ30代後半だったので体力がありやり切れましたが、これからもう一回となると、たとえお金があっても体力・気力ともに難しい気もします(やってみないとわかりませんが今の私にはできないかな)。

そしたら、「今」自分は何をすればよいのかなと考えました。

働き方は多様な世の中で、私も職場(仕事)だけ人間にはなりたくないです。

あくまでライフ(人生)の中の一つにワーク(仕事)があると思います。

しかしながら、獣医師は獣医療を専門とする技術者でもあるとともに、自然科学の科学者でもあります。

なので、やはり科学し獣医療を探求・発展し後世に何かの形で残していくことは大事な考えだと私は思っています。

そこで自分が何をすれば良いか、ふと浮かんだのが、「何を」残すかです。

すぐに浮かぶのは、獣医療知識や技術、論文など、目に見える物かと思います。だからまだまだ獣医療知識と技術を高めていきたいと思っています。

しかし、それと同様に、もしくはそれよりも大事なことが、「人を」遺すことかと、私は思います。これは人それぞれだと思います。

私がこの考えなのは、恩師であるサッカー部の監督の松澤先生が生前残していた言葉が私の動機付けの土台にあるからです。

(先生の言葉)

やり切った、という思いだった。区切りをつけるために、勝つために書き記してきたノートやいろんな資料をすべて燃やした。私の足跡が記録として残らなくてもいい。1000人もの教え子がいる。それで十分。

daisaku-nosai-hokkaido.hatenablog.com

人間のお医者さんの中には、町の方々のために一生懸命がんばってくださっている方がいます。大変失礼で申し訳ございませんが、この方々が論文を書いたり超高度な技術を持っているとは、私には見えません。しかしながら、多くの人に貢献し、中には医者になりたいという子供たちに夢を与えることができます。これも「人を遺す」につながると思います。

なので、体力がまだある40代に「今」を大事にして「人を遺す」ことを緊急ではないかもしれないけど最重要なこととして取り組んでいきたいと、ブログを書きながら自分に言い聞かせました。

でも、「人を遺す」ためにも、まだまだ獣医療技術や知識も高め、論文も残していく所存です。

今日も最後までお読みいただきありがとうございます。