繁殖障害治療
卵胞ウェーブが出現してからPGF2αを投与するタイミングを少し早めることで発情強度を増加させる、という2023年の12月公開という論文の紹介です。 www.ncbi.nlm.nih.gov 研究の目的は、卵胞ウェーブ出現から黄体退行までの期間を短くすることにより、より…
2年前に以下の記事を書きました。 daisaku-nosai-hokkaido.hatenablog.com このPG-PG-GnRHショートシンク法は乳牛の繁殖管理において非常に有用な定時授精法と今でも思いますが、最近の文献を読んでいると、間違いがあることに気づかされ、もしかし…
卵巣静止に子宮内膜炎が関与?! 分娩後発情がこない、妊娠していない場合に直腸検査や超音波検査を実施した結果、その牛が「卵巣静止」と診断したことは、ほとんどの牛の臨床獣医師は経験があると思います。 卵巣静止と診断し、多くの獣医師が行う治療は、G…
卵胞嚢腫は、卵巣静止、子宮内膜炎と並び牛の繁殖障害の代表格であることはご存じの方は多いと思われます。 また、卵巣にできる嚢腫は、卵胞嚢腫、黄体嚢腫、嚢腫様黄体とあり、基本的にはその大きい嚢腫が卵胞なのか黄体なのかを区別、診断した上でそれに応…
卵巣静止の牛に対して、コンセラールなどのGnRHを投与し排卵誘起し黄体を作る、という治療は牛の臨床獣医師の先生方は少なくても一度は経験があると思います。 さらに、治療した牛が、治療後10日ぐらいで発情が来た、という経験をされている方も多いのではと…
CIDRを抜くと同時にPGF2αを投与すべきなのか、抜く前日にPGF2αを投与するべきなのかについて少し考える機会がありましたので、自分の調べられる限りでまとめてみました。 牛の排卵同期化(Synchronization of ovulation)・定時人工授精(Timed artificial i…
CIDRを用いた定時授精プログラムには、大きく分けて二つの考え方があります。 今回ご紹介する2022年に発表されたこの文献は、ホルスタイン搾乳牛において、その2つを合体させた内容です。 pubmed.ncbi.nlm.nih.gov いきなり結論です! CIDR挿入時におけるEB…
自然発情時の人工授精時に、排卵促進剤を追加で投与されていますか? 授精現場では昔から良くある話だと思いますが、農家さんから聞かれても自分は本当のところどうなのか、わかりやすく詳しく説明することができませんでした。 「投与した方が受胎率が高く…
私のブログへのアクセス数が10000回に到達しました! これは本当に、日々お忙しいにもかかわらず、時間を割いて読んでくださっている読者の皆様のおかげです。 感謝感激です!!!ありがとうございます!!! daisaku-nosai-hokkaido.hatenablog.com 2021年1…
ホルモン剤を用いて人工授精をほぼ100%行う方法として、以前にPG → 24時間後PG → 約32から34時間後(次の日の夕方)GnRH →16-20時間後定時授精、のショートシンク法を紹介しました。 daisaku-nosai-hokkaido.hatenablog.com 今日は、PGからのショートシンク…
以前にまとめた、「発情周期のステージを推測するための方法」をアップデートしました。今回から複数回に分けて読者の方々と勉強していけたらなと思います。ご意見や疑問等ございましたら、是非一言いただければ幸いです。よろしくお願いいたします。 初回は…
発情周期のステージを推測する方法について現在記事をまとめ中で、提出期限がもう目の前にきて焦っている最中です。 今回その記事のために、繁殖検診時にわかりやすい所見があれば画像をとるようにしました。 その中で、発情10-11日目、つまり第2卵胞ウェー…
自分がちょっとだけ自分の強みだと感じている分野である牛の繁殖や栄養、子牛について自分が興味をもった最新の論文のタイトルを日本語で紹介させていただいています。少しでも日々の診療の参考にしていただければ幸いです。全て英語ですが、全文読めるのも…
CIDRと安息香酸エストラジオール(EB)製剤を併用した排卵同期化プログラムにおいて、「新しい卵胞波がいつごろ出現するのか」は、自分も気になるし、このプログラムを利用されている方々の気になるところなのではと思います。 自分が調べる限り、次の3つが…
これまで、排卵同期化プログラムについて、①と②について説明させていただきました。今回は、PGF2α(以下PG)とGnRHを利用してより短期間で授精に向かうことができる③について、自分が後輩に教えることが出来る程度にまとめてみました。 CIDRとエストラジオー…
オブシンクが開発されて27年経過しますが、「高い受胎率を得るために」、世界中で様々なアイデア、試験が報告されています。 乳牛での利用が多いので、乳牛に関するこれまでの文献を参考に、自分が後輩に教えられる程度にまとめてみました。 報告されている…
世の中に排卵同期化プログラムは色々あり変法もでていますが、自分の知る限り日本で主軸となっているのはこの3つではないかと思います。 CIDRとエストラジオールを併用したプログラム オブシンク PG-GnRHショートシンク 前回は①を説明させていただきました。…
牛の飼養管理や栄養状態を改善し、自然発情がしっかり来て、それによる人工授精という流れが最も大事であることは確かだと自分は思います。しかし、発情が来ない・妊娠しない牛に対する薬剤を使った繁殖管理が、現時点ではまだ重要な役割を果たしていること…
前回は、2個排卵する理由について、現段階で主流と考えられているホルモン動態について説明させていただきました。今回は、2個排卵しないためのホルモン処置の考え方と方法について、これまでの文献を参考に、自分が後輩に説明できる程度にまとまめていきた…
自分の知る限り、双子分娩を望まれている酪農家さんはあまりいないように感じます。 双子妊娠を少しでも避けるためには、まず双子になる理由を考えないといけません。自分も頭の整理ができていないので、今回もう一度整理しようと思いました。 牛の双子はほ…
牛の繁殖プログラムで使用する膣内に挿入する薬剤で2019年に発売されたプリッドデルタを使用されたい農家さんがいらっしゃったので、自分は初めての使用だったためどんなものなのか調べてみようと思いました。 自分は牛の繁殖で博士号を取得させていただいた…
なかなか受胎しない牛や、受精卵移植をするときに、授精または発情5日後に、hCG(ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン)を投与したり、CIDRを挿入したりして受胎率を向上させようとする技術は多くの獣医師や農家さんが使用されていると思います。自分もかなり使用し…
引用元 pubmed.ncbi.nlm.nih.gov 乳牛の繁殖障害治療でPGF2αを使う先生は、一度は読んでみる価値のある論文と感じました。 2021年のこの論文では、 ①PGの倍量投与 ②24時間間隔でのPG2回投与 を推奨しています。 自分も②を使っていますが、受胎性が良いです。…