だいさく NOSAI獣医日記

強みをみつけ、チャレンジを与えられる獣医でありたい

勉強・研究するための文献の探し方

前回は、論文作成中の考察の書き方について、過去の文献を調べ、「どこが同じなのか、どこが違うのか、どこが新しい点なのか」をストーリーの形にして考察を組み立てることの重要性を説明しました。そのため、文献を調べられる限り調べることが必須になると思います。

なので、今回は、論文作成に限らず、日々の勉強や研究のための文献の探し方について、自分が使っている方法をメインに少し説明します。

  1. PubMed
  2. Google Scholar
  3. Google
  4. J-GLOBAL
  5. J-STAGE
  6. 興味ある雑誌のHP

上記の6つのサイトを利用しています。

1.2.6が英語主体、3が英語日本語、4.5が日本語国内雑誌を主体としています。

1. PubMed

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

これを最も多く利用しています。自分は、繁殖関連で調べることが多く、例えば定時人工授精で調べたい場合、「 timed artificial insemination 」で994件、発情同期化で「 estrus synchronization 」で2941件がヒットします。この中には全文が読めるものもあれば、要約(abstract)だけ読めるものがあります。自分は、タイトルを見て、これは自分が求めているのが書かれてそうだなと思ったら、まずは要約を読みます。Free PMC articleと表示された文献であれば全文をダウンロードできより内容を調べることができます。表示されなくても、タイトルをコピペしGoogleで検索したら、全文をダウンロードできる場合があります。それでも無く、だけどどうしても読みたい場合は、有料で購入しています(多くは1論文3000円から4000円、ドルなので変動はあります)。お金が、と思われる場合は、その論文の作成者に直接メールを送って「興味があるのでいただけませんか」とお願いしたこともあります。メールアドレスもネットや論文に結構記載されています。

また、検索で大事にしている点が、検索を最も新しい順に並べる(Most recent)ことです。次に、その順にタイトルから興味ある全文が読める文献があれば、それをダウンロードします。その理由は、IntroductionやDiscussionには関連する文献が数多く登場するため、自分が知りたい内容のこれまでの歴史が書かれていることが多いからです。古い文献を調べるとそれ以降がどうなっているのかが空白になってしまいます。最初の取り掛かりとしては、最新の全文読める文献をまずは1篇、紙がぐちゃぐちゃになるくらい読み込むことが大事だと自分は感じます。そこから過去の文献の情報を広めていければ良いと思います。

古い文献が大事ではない、といっている訳ではなく、最初の取り掛かりとしてという意味であることをご理解ください。

また、総説(review)やメタ分析(Meta analysis)の論文を読むことも、非常に勉強になります。PubMedでは、左側に表示されているARTICLE TYPEから、論文の種類を絞ることができます。先ほどの「 timed artificial insemination 」で74/994件、発情同期化で「 estrus snchronization 」で168/2941件がヒットします。

これらの論文は多くがページ数が多く読むのが大変ですが、多くの情報をまとめて説明してくれていますので、非常に勉強になり、他の文献も調べやすいです。

2. Google Scholar

https://scholar.google.co.jp/schhp?hl=ja&as_sdt=0,5

自分はこれも利用しますが、Google Scholarの特徴は、検索結果として表示される文献ごとに引用元、つまりこの論文がどれだけ他の論文に参考・引用されたかを知ることができます。あくまで一般的にですが、論文の価値は被引用回数と考えられており、引用数の多い論文は後世に大きな影響を与えた論文として評価される傾向があります。なので、引用元の数字をみれば、その論文が引用に値するか否について客観的な判断に役に立つと思われます。しかしながら、その表示される数字が多いか少ないかを判断する基準を自分は持たずいまだに良く分からない状況なので、まずはそこを気にせず、興味ある文献を読んでいくことを続けています。

次に、日本語での文献では、J-GLOBALは検索が使いやすいです。特に日本の情報を知りたい場合は、PubMedよりもこちらが日本の学会の抄録など、査読がない文献も数多く含まれるので利用する価値があります。複写サービスもあり、またどの雑誌に紹介されているかなどを知ることができますが、タイトルだけしか表示されないことが結構多いと感じます。しかし、タイトルをコピペしGoogleで検索して、全文や要約が読めることもかなりあります。もし見つからなくても日本なら論文作成者の連絡先も見つけやすく、直接聞くこともハードルは高くないと思います。

英語、日本語問わず、文献検索のキーワードをどれだけ入れるかも大事です。キーワードを入れ過ぎて検索対象から外れた文献にも重要な情報があるかもしれませんが、数百数千篇の論文にタイトルだけでも目を通すだけで疲れ果てます。適切なキーワードで文献を絞り込むことは、有力な参考文献を手に入れるためには非常に大事な点だと思います。

最新の情報を知ることが絶対ではありませんが、時代の変化に対応していく、変化を作るためには最新の情報を知っておくことは大事と考え、3年ほど前から、興味ある雑誌のHPを毎月1回は見るようにしています。でも真剣に見るわけでもなく、だらだらしながらネットサーフィン気分でみています。

自分は繁殖と子牛疾病に力を入れているので以下のサイトを利用しています。

Home Page: Journal of Dairy Science

Animal Reproduction Science | Journal | ScienceDirect.com by Elsevier

Theriogenology | Journal | ScienceDirect.com by Elsevier

https://onlinelibrary.wiley.com/journal/14390531

Animal Reproduction (AR)

Society for Reproduction and Development

Reproduction

でも世の中の臨床獣医師、自分もそうですが時間がないのが本音です。なので、よく理解できない場合や本当に時間がない場合は翻訳サイトを使う時もあります。たしかに英語力が身につかないのではと言われればそれまでです。しかしながら、自分の目的は、農場の問題解決のために文献を読み、また後輩や読者の皆様に紹介することで、英語文献を読むことは手段です。

診療で困ってしまい文献を探して読む必要がでてきた、興味のある文献を読んでよりその分野を深めていきたい、などをお考え、でもどうすればよいか悩んでいらっしゃる先生方に本内容が少しでもお役にたてれば光栄です。