妊娠後半の母牛の栄養管理は子牛にとって非常に重要であると言われ続けていますが、それに関するレヴュー論文(2020年)があったので読んでみました。
その中で、古い論文でしたが、3つ参考になるものがありました。
①J. Anim. Sci. 53:1174–1180
引用元 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/7319965/
②J. Dairy Sci. 81:2779–2790
Nutrient and immunity transfer from cow to calf pre- and postcalving
引用元 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/9812284/
③J. Anim. Sci. 68:2622–2627
引用元 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/2211390/
これらの論文で指摘されているのが、乾物中の粗タンパク質濃度(CP)は、初乳のIgG濃度とは関連せず、逆に、制限された量のエネルギーとCPを給与された牛から得られた初乳を飲んだ子牛では、IgGの吸収が21.8%減少したとのことです。
これらから想像するに、餌の中身のバランスも大事ですが、やはり牛が満足に食べていることがまずは重要であり、そのためには牛が満足に食べられる環境をつくる、食べられない環境を取り除くことが、子牛の初乳免疫に関しては最初に取り掛かるところではないかと自分は思いました。
実際、農場の新生子牛と妊娠末期の母牛の血液検査を行ったところ、妊娠末期に過密にせず、一頭一頭が食べるべき量をしっかり食べることができている時期は親牛の状態も良く、子牛のIgG濃度も高い結果が得られました。
IgGが全てではありませんが、初乳IgGの吸収は生まれた日の最重要ポイントの1つです。妊娠末期にしっかり食べることの重要性を改めて勉強できる論文の紹介でした。