だいさく NOSAI獣医日記

強みをみつけ、チャレンジを与えられる獣医でありたい

初乳からの免疫が足りなかった子牛に対して

 

引用元pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

 

「初乳摂取がどうしても足りなかった子牛に対して、何かできることはない?」

農家さんからのこの相談に対する1つの方法の論文の紹介です。

 

生後2日目以降の14日間、代用乳に初乳粉末を追加する方法、2017年

 

①糞便や呼吸器病の異常減少

抗生物質の使用量の減少

の効果があったとのことです。

 

この論文では、血漿IgG濃度が10㎎/ml以上のホルスタイン子牛(10㎎/ml未満は受動免疫移行不全と一般的に定義されています。黒毛子牛の場合は20㎎/ml未満が移行不全)を用いているので、前述の飲めなかった牛ではありませんが、補充するという意味で疾病予防に役に立つのではないかと自分は思いました。

 

しかし、初乳粉末は正直値段もするので、よりコスパがいいものはないのか、それを日本農産の牛の栄養士である上田先生から教えていただきました。

製氷トレイ(普通の)に余った初乳を入れて凍らせておく方法です!

良質初乳であるBrix値が20%以上、できれば25%以上の初乳を凍らせ、それを1日3個代用乳に溶かして入れると、市販の初乳製剤を混ぜるよりもコスパがいいとのことです。

 

初乳を介して伝染する可能性がある病気のリスクを考えると難しい問題ではありますが、初乳の持っている可能性として今後一つの方法になる可能性があります。

 

酪農家さんでは上記の氷方法が可能ですが、黒毛和牛生産の方では、今のところでは市販の初乳製剤かもしくは、2日目以降から給与するサプリメントも市販されていますので、困っている方がいらっしゃいましたらその子牛だけでも使ってみる価値がありそうと自分は思いました。