日本獣医師会雑誌の最新号にこのような文献がありました。
引用元 日獣会誌 75 e122-e127 (2022)
あくまで大学の動物病院における、獣医学生と模擬クライアント(ペット飼育経験がある一般市民)、ペットは実際の動物ではなくぬいぐるみを使用、での調査ではありますが、統計を使いまとめられ、参考になりました。
信頼獲得と関係があるものがいくつか紹介されていましたが、特に深かったのが以下の3つです。
①解釈モデルの理解
②共感
③閉鎖型質問
このうち①の解釈モデルの理解が最も信頼獲得と相関が強い結果でした。
解釈モデルの理解とは、この病気の原因や重症度などの症状、また今後の診療方針や予後について、農家さんがこれまでに培い持っている考え方を聴いて理解することです。
臨床現場では、農家さんの意見を聞かないで獣医師自身で決めないといけないところは、獣医師が責任をもって決定し処置を行う場面も当然あります。そして、獣医師もそれぞれで解釈モデルを持っています。
しかし、農家さんの解釈モデル、これを理解せずして診療を進めていくことは、信頼獲得から離れていくというのが、この文献から示された結果でした。
つまり、日々の診療の中で、獣医師と農家さんの解釈モデルを少しずつ理解し合うようにコミュニケーションとっていく姿勢、行動することが大切なのかなと、自分は思いました。
実際に、農家さんと獣医師の間でのトラブルで最も多いのが、この解釈モデルをお互いで理解し合えずに診療が行われ、うまくいかなかった場合だと、先日の会議で説明がありました。
この文献を読んでいて浮かんだのが、著書「7つの習慣」の中の第5の習慣、「まず理解に徹し、そして理解される」です。まず、相手を理解する。相手に自分のことをわかってもらえるかどうかは、日頃の行い次第、と記述されていました。さすが、名著「7つの習慣」だなと改めて思いました。
最初に述べましたが、あくまで大学の動物病院内で行われた、学生の実習であり、実際の臨床現場とは少し異なるかもしれませんが、参考にしていただければ幸いです。