オブシンクと同様に、エストラジオールとプロジェステロン(シダーやプリッド等)を併用したプログラムは、牛の排卵同期化プログラムとして、開発からおよそ30年の歴史があります。
一方、エストラジオールは日本国内、南米では現在も利用が可能ではありますが、EU、ニュージーランド、オーストラリア、カナダ、アメリカ、一部の南米地域で禁止されています。
日本においても、使用について検討する時期がいつかくるかもしれない、ということを想定しておくことは、緊急ではないですが、頭の片隅には入れておくことも大事かなと思います。
実際に主軸で使用されています南米でも動き出しており、エストラジオールフリーの排卵同期化を検討している報告が続けてありました。牛の飼養環境を含め、地域で多くの違いはありますが、考え方の1つの参考にはなるかと思います。
論文は2本あり、➀は2026年、➁は2025年でした。
➀エストラジオールの代わりに、GnRHを主軸としてのプログラム(従来のCIDRオブシンク)では受胎性が厳しかった、という報告
➁エストラジオールの代わりに、GnRH拮抗薬である Cetrorelix(セトロレリックス)を使用して新規卵胞波を誘導したプログラム
個人的には、➁が興味深かったです。牛での使用は認可がないですが、考え方、また新規卵胞波の誘導がいかに大事かが勉強になりました。
正直、新規卵胞波の誘導をクリアすることが、排卵同期化で高い受胎性を得るには、最も土台になる、だから世界中で研究されているんだな、と改めて気づかされました。
逆に言うと、同期化を処置した場合、➀古い卵胞で授精に向かわない、➁新しい卵胞を生み出しそこそこに発育させた状態で授精に向かう(新しい卵胞を生み出すのに成功しても、卵胞自体が小さ過ぎで授精に向かってもだめ)、をどちらかをクリアさえすれば、まずは良いスタートダッシュができると想像しました。
エストラジオールもプロジェステロンも使用しない排卵同期化、かつ受胎性が良い、かつ手間がかからない、かつ安い、・・・のようなプログラムがあればなお良いかもしれませんが。プログラム自体いらない牛の状態になればさらになお良いと自分は思っていますが。
ここで論文を読むことについてちょっと立ち止まってみました。
論文を読んでいると、その論文で実施された内容を現場で使用する時もありますが、正直それ以上に心が動くのが、論文で記されている考え方、先人の先生方の考え方の歴史がいつも勉強になるなと思って、自分は論文を読んでいます。
幼少期から、日本のまんが歴史本や三国志、はたまた大学センター試験の日本史の勉強すらも「まんが日本の歴史」で勉強していたくらいだったので、分野が違っても、歴史知るのが自分の性格だからかもしれません。
でも実は、自分は、頭の回転が悪く、物事を理解するのに人よりも何倍も時間がかかるので、まんがの方が理解しやすいかったとも思っています。
余談が長くなり、大変申し訳ございません。
今回は、会社内の回覧で➀の論文を見つけましたので、ちょっと遺しておこうと思いました。繁殖管理の一つとしての排卵同期化について、ちょっと考えるには勉強になる文献の紹介でした。
HPから全文ダウンロードして読めますので、ご興味を持たれた方はお読みいただければ幸いです。
今日も最後までお読みいただきありがとうございます。