だいさく NOSAI獣医日記

強みをみつけ、チャレンジを与えられる獣医でありたい

獣医師を志した理由

昨日、自分が獣医師になりたいと決めた映像を久しぶりに見ました。

娘が馬が大好きで、町主催の馬が好きな子供たちが集まって馬について様々な体験を行える、うまキッズ探検隊に参加しているのですが、その影響もあって娘たちがアマゾンプライムで「ウマ娘 プリティーダービー」を見ていました。その中で、主人公はスペシャルウィークですが、スペシャルウィークが尊敬するウマ娘が、自分が獣医師を志したきっかけになったサイレンススズカでした。

当時自分は高校2年で、獣医とは全くの無縁でした。獣医師になりたいとはこれっぽっちも思っていませんでした。

1998年11月1日、15時30分過ぎ、ゲームをしようと思ってテレビを点けたら、点けた瞬間の番組がたまたまNHKで、ほとんど見たこともない競馬がたまたま始まったばっかりで、サイレンススズカだけが異常な早さで走って、すごいなーと思って番組を変えずにみていたら、急にガクッと前のめりになり、外の方に向かっていきました。左手根骨粉砕骨折し故障発生でした。倒れていたら武豊騎手も大怪我で他の馬も巻きこまれ大事故でしたが、倒れずに外の方に走っていきました。たった数秒の出来事でした。

その後は、テレビ中継が終わってしまい、インターネットもないのですぐに情報がわからず、確か翌朝のニュースで安楽死と知ったことを記憶しています。

今は獣医師をしていて、この骨折が治らない安楽殺処置の対象ということは理解できますが、当時の自分は、「なんとか治せなかったのか。自分が獣医になってこういう馬を治したい」と体の中から何かが弾けた感じでした。

それまでは、宇宙が好きで、NASAの職員になってロケット開発をしたいと思って大学の航空宇宙工学科に入るための勉強をしていましたが、その夢を一瞬で打ち負かす衝撃をうけたのを記憶しています。

娘たちには以前にも、「お父さんがどうして獣医師になりたいと思ったのか」を話したことはありますが、改めてその話をする機会に昨日なりました。

アニメだけでなく、YouTubeで実際のサイレンススズカが故障を発生する映像をみると、ちょっと感情が入ってしまい恥ずかしながら涙が出てきました。

いつどこで、将来自分のなりたい仕事が舞い降りてくるかは、本当にわからないものだなと自分は思います。本当に「たまたま」の連続で、自分は獣医師が舞い降りてきました。

余談ですが、「たまたま」つながりで、「ウマ娘 プリティーダービー」の主人公であるスペシャルウィークですが、そのロゴが入ったウインドブレーカーを、自分が獣医学科に入学した時に買いました。馬のウインドブレーカーを買ったのは後にも先にもこのスペシャルウィークの1着だけです。そして、なんとこのスペシャルウィークの生まれ故郷である日高の生産牧場さんは、義理の父親が昔から今に至るまで主治医をしており、スペシャルウィークが誕生するのに大きく関わっていました。その娘さんと出会い結婚するとは、人の縁とは本当に不思議なものだねと、妻や娘たちと話しました。

サイレンススズカスペシャルウィーク、この2頭は、自分の人生のきっかけ、妻との出会い、もしかしたらこれからの娘たちにとってかけがえのない馬たちで、忘れられない2頭です。

さらに、NHKでテレビを止めていた、おやじ、母親、兄貴、弟のだれかはわからないけど、ありがとうございます!