だいさく NOSAI獣医日記

強みをみつけ、チャレンジを与えられる獣医でありたい

初乳給与は1回よりも、数時間後に2回目を行った方がなぜ良いのか

引用元 pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

最近、初乳について調べないといけない状況があり調べてみたら、非常に興味深い論文がありました。

 

「初乳給与は1回よりも、数時間後に2回目を行った方がなぜ良いのか」を示す論文の紹介です。

 

(結論)

①受動免疫移行不全 ↓

②疾病予防 ↑

③死亡率 →

④増体 ↑

⑤未経産での授精回数 ↓

⑥初産時の305日補正乳量 ↑

 

自分は⑤⑥に注目しました。

 

以下論文の中身です。

 

多くの酪農家では、受動免疫移行の最大化のために、初乳の2回給与が実施されている。しかし、高品質の初乳を1回給与するだけで、優れた受動免疫移行を実現できることも事実である。さらに、今のところ、生後24時間以内に2回目の初乳を給与した場合の効果を示す証拠はない。↓

それゆえ、本研究では、初乳を1回給与した子牛と2回給与した子牛において、①受動免疫移行、②離乳前の罹患率、③死亡率、④成長、⑤繁殖成績・乳量成績を比較した。通常この農場では、出生直後に3 Lの初乳、5〜6時間後にさらに2L給与していたが、1回給与の子牛は最初の3Lしか給与されなかった。↓

 

結果は上記の通りでした。

 

初乳はIgGだけでなく、成長を促すホルモンや小腸絨毛の発達を良くする効果もあります。

 

日本の多くの酪農家さんでは初乳を2回給与されていると思いますが、5〜6時間後の2回目給与が増体や疾病予防だけでなく、未経産の繁殖性や泌乳量にも影響を与えることを示す論文でした。